上村奈々子展「時が描く」
2017年4月29日(土)~5月21日(日)
今、向山のギャラリーサンセリテで上記展覧会「上村奈々子展」が開催されています。
この案内状の作品に何か惹かれるものがあって、どうしても見ておきたいと思い出かけてきました。
会場に入ると正面にこの大きな雪山(ゲレンデ)の絵が静かに佇んでいます。そう、正にこれが冬山の景色だと頷かずにはいられません。
あのシンと冷え切った空気や、音を呑み込む大地や、頭の上を吹き抜ける風まで感じるようです。
雪山はこうして描くものだと教えられたようで「やられた感」が半端ないです。
誰も居ないのは時間が止まっているのか、むしろ長時間開けっ放しのカメラのシャッターのように動くものは掻き消えてしまったか。
この絵を眺めていると何故だか自分は独りぼっちなんだという気分になってしまうのです。
作品はほとんどモノトーンですが、描かれている世界は幅広く、作者の自在なふり幅があるからこそでしょう。
技法について
「蜜蝋版画」という方法が多く用いられています。
蜜蝋版画とは、紙の上に溶かした蜜蝋を刷毛で手早く塗り、蝋が固まったところでキリの先のようなニードルで引っ搔いて線を描きます。
次にその引っ掻いた線の上からインクを刷毛で叩き込むようにして下地の紙に色を付けます。
インクが乾いたら、蝋の上に紙を置き、熱したアイロンで押さえることで蝋は溶け下地の紙から分離されます。
跡には引っ掻いた線がインクの黒い線となって残っています。
蝋というフィルターを通した、一点物の版画といっていいでしょうか。
ギャラリーサンセリテの情報はこちら↓
http://www.sincerite.info/