高田本山にて「布教伝道研修講座」という堅い名称の研修会がありました。一応わたしは主催者サイドです。
真宗において「布教」といえば「法話布教」です。つまり仏法を説き、仏徳を讃嘆することで、お念仏を称える人を生み出すのです。
法話とは当然、世間話とは違い、そこに仏さまの心がこもっていなければいけません。
いえ、決して話し手が仏さまになるわけではありません。仏さまの心に触れた驚きやよろこび、そして悲しみを伝えることで、そこに仏さまの心が宿るのです。
とは言うものの、どれほど支度をして、語る練習を積んだとしても、満点というわけには参りません。
語る者と聞く者が、互いに響き合う中から成長してゆくものだと思います。
さて、先日の講座の様子です。実演者は二人。ひとり15分間の規定の中でそれぞれに練り上げた法話を僧侶や一般の混じる人たちの前で語るのです。
一人目は松山智慧氏。まだ二十代の若い僧侶です。自身は普段畜産に関わる仕事をされているということで、そうした現場で見て来たことや、感じることを織り込みながら、いのちについて、信心について立派に語ってくれました。
二人目は寺本正見氏。彼も三十代はじめという若さ。彼自身は在家から大谷派の僧侶となり、一旦僧侶の世界を離れたものの、仏法に引かれるところがあって不思議な縁とともに高田派の一員となられたという経歴を話され、その背景に強く仏さまからのお導きを感じられる法話でした。
二人とも先々が非常に楽しみな若者で嬉しい出会いでした。
講座の後半は本願寺派よりお越しいただいている花岡静人先生のお話を伺い、半日の有意義な一時を終えました。